2010年のショパン国際ピアノコンクールは興味があり、インターネットで演奏が聴けるので予選から演奏を聞いていました。その時、「圧倒的だなあ」と思ったのが【エフゲニー・ボジャーノフ】です。彼はその直前ヴァン・クライバーンコンクールでも入賞していた事を後で知りました。その時1位が二人いてそのうちの一人が日本の辻井伸行さんです。辻井さんはその後NHKなどでも取り上げられ一躍時の人になった事はご存じのとおりです。
クライバーンの時もボジャーノフは1位ではありませんでした。ショパンコンクールでも4位にとどまりました。
私は音楽は好きですが素人なので何故彼の演奏が良かったかを説明するのは難しいのですが、いわば「聴かせるものがあった」のです。何か「物語ってくれた」のです。ショパンのこのノクターンは私はこのショパンコンクールで初めて聴いたと思います。ショパンがこのような曲を晩年書いたことも驚きでしたが、彼の演奏には没入できるものがありました。
聴いて下さい。
彼がなぜショパンで優勝しなかったのか不思議です。
30年ほど前に、チャイコフスキーコンクールにチャレンジしたピアニストの言葉を、その方と親しい人から間接的に聞いたことがあります。それは、「審査は最後は政治だ」と。
ボジャーノフはブルガリア出身です。それも影響したかもしれません。また、彼はステージ慣れしていました。一方優勝したロシアのユリアンナ・アヴデーエワはうぶで純真な感じでした。審査員にはそれも彼に反感を感じる一因になったかも知れません。ファイナルのコンチェルトで、ボジャーノフは少しミスしたような気がします。気のゆるみかもしれません。
様々な要素で彼は優勝しませんでした。でも私は彼こそが2010年のショパンの優勝者にふさわしいと今でも思っています。